令和6年度 公益社団法人 北部地区医師会 北部地区医師会病院情報の公表
病院指標
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞の患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
医療の質指標
- リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
- 血液培養2セット実施率
- 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
- 転倒・転落発生率
- 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
- 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
- d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
- 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
- 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数 ファイルをダウンロード
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | – | 26 | 43 | 75 | 193 | 337 | 797 | 1183 | 993 | 553 |
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0400802499x0xx | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) | 164 | 16.77 | 16.40 | 7.32 | 87.06 | |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 86 | 15.05 | 13.66 | 4.65 | 83.52 | |
030250xx991xxx | 睡眠時無呼吸 | 82 | 2.00 | 2.02 | 0.00 | 57.15 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 | 79 | 23.80 | 20.78 | 10.13 | 84.77 | |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 | 79 | 10.04 | 8.88 | 5.06 | 76.44 |
<解説>
内科は患者さんの高齢化を反映して、肺炎、尿路の感染症、誤嚥性肺炎などが多くなっています。
肺炎、尿路感染症は抗菌薬で一定期間治療すれば治癒することが多いですが、元々の体力や免疫、栄養状態などによって治療経過が長くなり身体機能が低下し自宅に帰れなくなってしまう場合があります。入院中に低下した身体機能の回復のため、当院の地域包括ケア病棟へ転棟することもあります。
内視鏡で胆石除去を行う事も多い胆管結石、胆管炎の患者さんも多く入院しています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx9910xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | 248 | 3.06 | 3.07 | 0.00 | 70.63 | |
050050xx0200xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | 64 | 4.45 | 4.18 | 0.00 | 69.36 | |
050070xx03x11x | 頻脈性不整脈 | 61 | 6.03 | 10.00 | 0.00 | 67.89 | |
050130xx9900x0 | 心不全 | 61 | 19.75 | 17.33 | 8.20 | 80.62 | |
050130xx9910xx | 心不全 | 17 | 14.35 | 14.08 | 5.88 | 75.71 |
<解説>
心臓の病気には、血管が詰まる狭心症や心筋梗塞、弁膜の機能障害で起こる弁膜症や筋肉が異常を来す心筋症のほか、脈が乱れる不整脈など様々な種類が存在します。近年では心房細動(不整脈の一種)の患者さんが非常に増えているため、根治療法としてのカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)も増加の一途をたどっています。なお狭心症や心筋梗塞症の患者さんは、計画的経過観察(6ヶ月後と1年後)として2泊3日(もしくは1泊2日)の短期検査入院を受けて頂いているため、結果として全体的に平均在院日数が短くなっています。
心不全は平均年齢も高いため、体力低下などにより自宅退院が難しい場合は、地域の連携病院の回復期や療養病棟に転院する場合もあります。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 60 | 3.88 | 4.54 | 0.00 | 69.47 | |
060330xx02xxxx | 胆嚢疾患(胆嚢結石など) | 47 | 6.21 | 5.99 | 2.13 | 65.53 | |
090010xx010xxx | 乳房の悪性腫瘍 | 41 | 8.71 | 9.77 | 0.00 | 65.34 | |
060210xx99000x | ヘルニアの記載のない腸閉塞 | 33 | 7.06 | 9.08 | 0.00 | 74.24 | |
060035xx0100xx | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 | 28 | 14.04 | 14.81 | 0.00 | 68.50 |
<解説>
外科で最も多い症例は鼠径ヘルニアです。次に中高年層に多く発生する胆嚢疾患となっています。胆嚢疾患の手術のほとんどは身体にダメージを与えない腹腔鏡下を用いて行っています。また、手術を必要とする悪性腫瘍の症例も増加しました。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx02xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | 109 | 35.38 | 25.29 | 33.03 | 81.72 | |
160760xx01xxxx | 前腕の骨折 | 45 | 4.58 | 5.95 | 0.00 | 66.49 | |
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) | 32 | 26.44 | 19.16 | 46.88 | 82.72 | |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む。) | 20 | 24.25 | 21.38 | 5.00 | 76.70 | |
160820xx01xxxx | 膝関節周辺の骨折・脱臼 | 14 | 57.07 | 28.71 | 7.14 | 78.50 |
<解説>
全体的に平均年齢の高い患者さんの入院が多く、中でも転倒等による股関節・大腿近位の骨折症例が最も多くなっています。次いで前腕の骨折の患者さんも増加しています。
胸椎や腰椎の骨折は、大半が手術ではなく疼痛緩和・リハビリを主体とした保存的加療を行っております。
高齢者の一人暮らしなど患者さんの生活環境によっては、直接自宅へ帰ることが難しい場合もあります。当院併設の回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟への継続入院のため、自院の平均在院日数が比較的長くなっています。他医療機関への転院調整も行い在宅復帰を目指しています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050130xx9900x0 | 心不全 | 30 | 13.93 | 17.33 | 3.33 | 87.40 | |
050080xx0101xx | 弁膜症(連合弁膜症を含む。) | 14 | 20.14 | 20.84 | 0.00 | 75.57 | |
050080xx99100x | 弁膜症(連合弁膜症を含む。) | 12 | 3.00 | 5.18 | 0.00 | 74.33 | |
050050xx0101xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 | ‐ | ‐ | 21.11 | ‐ | ‐ | |
050161xx9900xx | 大動脈解離 | ‐ | ‐ | 16.32 | ‐ | ‐ |
<解説>
当科では虚血性心疾患 心臓弁膜症などの治療を行っています。
北部地域は長寿の方が多く、高齢者人口も多い地域です。生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症など)の基礎疾患を有する患者も多く、これらの症状が重篤な場合には、手術後に合併症を引き起こすリスクが高まることがあります。そのような患者さんにおいても、できるだけ体にかける負担の少ない低侵襲手術を基本とし、更に循環器内科医との綿密な連携のもとに内科的治療を組み合わせるなどの工夫をすることで安心して治療を受けていただけることを目指しています。
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080010xxxx0xxx | 蜂窩織炎 | 17 | 15.76 | 12.98 | 0.00 | 66.82 | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) | ‐ | ‐ | 6.92 | ‐ | ‐ | |
050180xx99xxxx | 静脈・リンパ管疾患 | ‐ | ‐ | 14.41 | ‐ | ‐ | |
080007xx010xxx | 皮膚の良性新生物 | ‐ | ‐ | 3.77 | ‐ | ‐ | |
100100xx97x1xx | 糖尿病足病変 | ‐ | ‐ | 47.54 | ‐ | ‐ |
<解説>
最も多い症例は蜂窩織炎(蜂巣炎)です。下肢蜂窩織炎の頻度が多く、基礎疾患として下肢浮腫や皮膚病変を有する患者さんが多くなっています。
治療は抗菌薬の投与が中心となります。
当科は他科との併存疾患等で入院するケースも多く、当科のみでの入院患者数は少なくなっています。
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数 ファイルをダウンロード
初発 | 再発 |
病期分類 基準(※) |
版数 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 13 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | 1 | 8 |
大腸癌 | 14 | 11 | 30 | 10 | ‐ | 23 | 1 | 8 |
乳癌 | 27 | 14 | ‐ | ‐ | ‐ | 21 | 1 | 8 |
肺癌 | ‐ | ‐ | ‐ | 23 | ‐ | 33 | 1 | 8 |
肝癌 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | 13 | 1 | 8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
<定義>
令和6年6月~令和7年5月に退院された患者の初発の5大癌のUICC病期分類並びに再発患者数です。
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
「初発」とは、StageⅠ~不明までの件数で、自施設において、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指します。
「再発」とは、自施設・多施設を問わずに初回治療が完了した後、自施設にて患者を診療した場合や、治療癌寛解後に、局所再発・再燃又は新たな遠隔転移をきたした場合を指します。
<解説>
集計上、10未満の数値は「-(ハイフン)」で表示していますが、初発症例の実際の患者数(StageⅠ~Ⅳまでの合計)は下記の通りとなっています。
胃癌 24件、 大腸癌 65件、 乳癌 47件、 肺癌 31件、 肝癌 13件
当院は、消化器内科・呼吸器内科・消化器外科・乳腺外科の診療を中心に癌治療(手術及び化学療法)を提供しており、大腸癌、乳癌や胃癌の症例が多くなっています。
肺癌については呼吸器外科専門医がいない為、内科的治療が中心となる患者さんが多くなっており、手術が必要な場合は呼吸器外科専門医のいる医療機関への紹介を行っています。
また、放射線治療については中南部地域の医療機関と連携して対応しています。
患者さんやご家族が安心できる最善の診断・治療を行い、治療が困難な患者さんの疼痛を和らげるため緩和ケア体制も整備しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等 ファイルをダウンロード
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 23 | 8.78 | 54.48 |
中等症 | 190 | 14.68 | 78.37 |
重症 | 63 | 24.33 | 86.14 |
超重症 | – | – | – |
不明 | – | – | – |
<定義1>
・入院の契機となった傷病名および医療資源を最も投入した傷病名が肺炎に限定する。
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
※成人(18歳以上)の肺炎患者について重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。
※市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎です。
※インフルエンザ、ウイルス性肺炎(DPC040070相当)、誤嚥性肺炎(DPC040081)、間質性肺炎(DPC040110)、COVID-19肺炎(DPC180030)は除外。
<定義2>
①男性≧70歳、女性≧75歳
②BUN≧21または脱水(+)
③酸素飽和度≦90%
④意識障害(肺炎に由来する)
⑤血圧(収縮期)≦90mmHg
※5点満点で1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。
軽 症 : 0点の場合。
中 等 症 : 1~2点の場合。
重 症 : 3点の場合。
超 重 症 : 4~5点の場合。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。
不 明 : 重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。
<解説>
当院では中等症以上の患者さんが多く、重症度が上がるにつれて平均年齢も高くなり在院日数も延びる傾向がみられます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)など慢性呼吸疾患のある患者さんは繰り返し肺炎に罹患される方もいらっしゃいます。
呼吸管理や適正な抗菌薬の選択など患者さんの症状に合わせた治療を提供できるよう努めております。
脳梗塞の患者数等 ファイルをダウンロード
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 72 | 24.14 | 80.38 | 31.76 |
その他 | 13 | 31.38 | 76.85 | 2.35 |
<定義>
・令和6年6月~令和7年5月に退院された患者の医療資源を最も投入した傷病のICD10がI63$(脳梗塞)である症例を集計。
・発症日から「3日以内」 「その他」に分けた数値を記載する。
<解説>
脳梗塞とは、脳内の血管が血栓などで詰まり、脳組織が壊死する病気で、運動感覚の麻痺や意識障害などの症状が起こります。
当院では、症状発症から3日以内の入院割合が大部分を占め、脳外科専門医がいないため内科的治療で初期対応や全身管理を行っています。
また、外科的治療が必要な場合や、当院にて治療後リハビリテーションが必要な患者さんは転院して頂いています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | 66 | 1.68 | 3.33 | 1.52 | 65.35 | |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 39 | 2.38 | 11.54 | 5.13 | 76.18 | |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | 22 | 0.18 | 13.50 | 9.09 | 74.27 | |
K6871 | 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) | 20 | 7.45 | 7.90 | 5.00 | 79.35 | |
K7212 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) | 20 | 0.40 | 2.35 | 0.00 | 69.40 |
<解説>
最も多い手術は内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術です。健診等にて大腸病変が疑われ、精査目的で当院へ紹介頂いた中から、大腸ポリープが発見され切除を行う症例が多くなっています。北部地区医師会の特色である同会併設の健康管理センターからの紹介もあり、癌の初期段階と言われるポリープの状態で切除し軽快へもっていくため、予防医学としても貢献度が高くなっています。
内視鏡的胆道ステント留置術、内視鏡的乳頭切開術は、総胆管結石や閉塞性黄疸などに対して行っています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5951 | 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) | 59 | 2.88 | 3.02 | 0.00 | 67.58 | |
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 41 | 1.68 | 2.39 | 0.00 | 69.37 | |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | 23 | 0.00 | 11.17 | 4.35 | 69.70 | |
K5972 | ペースメーカー移植術(経静脈電極) | 12 | 3.33 | 9.25 | 0.00 | 79.00 | |
K5463 | 経皮的冠動脈形成術(その他) | 11 | 0.91 | 2.55 | 0.00 | 70.09 |
<解説>
当科では日常的に多くの心臓カテーテル検査を行い、早期に病状を確認することで患者さんの重症化を防いでいます。狭心症や心筋梗塞、不整脈などの疾患が多いためカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)やステント留置術が上位を占めています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 81 | 1.09 | 5.27 | 1.23 | 66.44 | |
K6335 | 鼠径ヘルニア手術 | 41 | 1.00 | 1.98 | 0.00 | 70.71 | |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 30 | 2.67 | 13.63 | 0.00 | 68.53 | |
K4763 | 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 26 | 1.00 | 6.58 | 0.00 | 64.08 | |
K634 | 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 20 | 1.00 | 1.65 | 0.00 | 65.65 |
<解説>
最も多い手術は、胆嚢炎や胆石症などの疾患に対して行われる腹腔鏡下胆嚢摘出術で、開腹せずに腹腔鏡を用いて手術を行うため、術後疼痛の軽減や術創の早期回復が見込まれ在院日数も短くなっています。2番目に多い手術は、鼠径ヘルニア手術です。弱くなった腹壁を補強し、元に戻す手術を行います。
当院は地域がん診療病院として、地域の医療機関とも連携しており悪性腫瘍に対する紹介も積極的に受け入れています。結腸悪性腫瘍や、乳腺悪性腫瘍に関する手術も行っています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 102 | 2.89 | 37.14 | 31.37 | 83.99 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 63 | 1.27 | 6.57 | 0.00 | 62.90 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 36 | 3.06 | 29.19 | 19.44 | 75.92 | |
K0821 | 人工関節置換術(膝) | 31 | 0.87 | 27.74 | 3.23 | 76.61 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術(下腿)(前腕) | 15 | 0.40 | 1.87 | 0.00 | 59.60 |
<解説>
当科では高齢者の骨折に対する骨折観血的手術(大腿・前腕)や人工骨頭挿入術(股)が多くなっており、変形性股関節症や膝関節症に対しては人工関節置換術(股・膝)を行っています。退院後約3割の方が地域の連携病院の回復期や療養病院へ転院となっています。
急性期治療を終えたあと、自院の回復期病棟や地域包括ケア病棟へ転棟している症例も多いため、平均術後日数が比較的長くなっています。
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5551 | 弁置換術(1弁) | 14 | 6.29 | 27.43 | 7.14 | 77.50 | |
K5522 | 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | |
K5552 | 弁置換術(2弁) | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | |
K617-2 | 大伏在静脈抜去術 | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | |
K5951 | 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ | ‐ |
<解説>
当科で一番多い手術は大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症に対する弁置換術(1弁のもの)です。次いで不安定狭心症、労作性狭心症に対して冠動脈、大動脈バイパス移植術を行っています。
なお集計上、10未満の数値は「-(ハイフン)」で表示しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率) ファイルをダウンロード
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | ‐ | ‐ |
異なる | ‐ | ‐ | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 13 | 0.31 |
異なる | ‐ | ‐ | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | ‐ | ‐ |
異なる | ‐ | ‐ | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 16 | 0.38 |
異なる | ‐ | ‐ |
<定義>
令和6年6月~令和7年5月に退院された患者が対象です。
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」を記入しています。
病気やけがの治療を進める過程で、予期できたり、できなかったりする様々な症状や合併症が発生することがあります。
ここで示している4つの指標はその代表的なものです。
『入院契機』が「同一」とはその症状が原因で当院に入院されたことを示し、「異なる」とはほかの症状で入院をしていたが、その症状の治療を最も行ったことを示しています。
<解説>
敗血症とは感染症などによって、血液中に細菌が入り全身に様々な影響が起こる重篤な病態です。
近隣施設から紹介される高齢者や高リスクの基礎疾患を持っている患者さんが、肺炎や尿路感染を契機に全身状態が悪化し重症となった症例が多くありました。
手術・処置等の合併症は、手術や処置などの後、それらがもとになって起こることがあります。術後創部感染や人工的な挿入物の感染(人工関節等)が原因となり発症するケースが見受けられました。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率 ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが 「中」以上の手術を施行した 退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の手術を 施行した患者の肺血栓塞栓症の 予防対策の実施率 |
440 | 401 | 91.14 |
<定義>
・リスクレベルが「中」以上の手術は、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改定版)」(日本循環器学会等)に準じて抽出。
・集計値は次の式で算出した値とする(分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数 / 肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数) × 100
<解説>
肺血栓塞栓症はエコノミークラス症候群などと呼ばれています。
足や体幹の深い静脈に血の塊(血栓)が形成された状態を深部静脈血栓症といい、この血栓が流されて肺の血管を詰まらせた状態を肺血栓塞栓症といいます。手術中は長い間ベットに横たわり、長時間同じ体勢をとり続けることなどが原因で発症のリスクが高まります。
予防法として、弾性ストッキングの着用や抗血液凝固薬の使用などがあります。
血液培養2セット実施率 ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
2623 | 2554 | 97.37 |
<定義>
・分母は1日に1回以上検査が算定されている日が集計対象となり、分子は1日に2回以上検査が算定されている日が集計対象となる。
・集計値は次の式で算出した値とする。(血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数 / 血液培養オーダー日数) × 100
<解説>
感染症が疑われた場合は治療に効果のある抗菌薬を選ぶ必要があります。そのために必要なのが血液中の病原菌を調べる血液培養検査です。
確実に菌を検出するため血液培養を2セット採取することで感染源を正しく特定し、1セットのみの偽陰性や偽陽性による過剰治療を防ぎ、最適な治療を提供することができます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率 ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日 までの間に細菌培養同定検査が 実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
499 | 449 | 89.98 |
*広域スペクトル抗菌薬…メロペネム水和物、カルバペネム系など(一部抜粋)を指す
<定義>
・集計値は次の式で算出した値とする(分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数 / 広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数) × 100
<解説>
広域スペクトル抗菌薬は広範囲の細菌に有効ですが、その反面 薬剤耐性菌が発生しやすいため、患者さんの状態に合わせた適切な抗菌薬の選択が必要となります。そのため抗菌薬投与前に細菌培養検査を行うことが重要です。
転倒・転落発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生した転倒・転落件数 (分子) |
転倒・転落発生率 |
58008 | 143 | 2.47 |
<定義>
【様式1の入力値を使用】
・集計値は次の式で算出した値とする(退院患者に発生した転倒・転落件数 / 退院患者の在院日数の総和) × 1000
<解説>
転倒・転落は、入院という環境の変化 ・ 年齢や認知力など、さまざまな要因により発生する可能性があります。
ナースコールに連動し転倒を未然に防ぐための装置(センサー等)を使用し、対策を行っています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和 もしくは入院患者延べ数(分母) |
退院患者に発生したインシデント 影響度分類レベル3b以上の 転倒・転落の発生件数(分子) |
転倒転落によるインシデント影響度 分類レベル3b以上の発生率 |
---|---|---|
‐ | ‐ | ‐ |
<定義>
【様式1の入力値を使用】
・集計値は次の式で算出した値とする(退院患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落の発生件数 / 退院患者の在院日数の総和) × 1000
集計上、10未満の数値の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。
<解説>
転倒・転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上とは、損傷レベルの高いもの(手術や大きな処置を必要とする)を指します。
当院は転倒・転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生件数が10未満であり良好な結果でした。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率 ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、 予防的抗菌薬投与が実施された 手術件数(分母) |
分母のうち、手術開始前 1時間以内に予防的抗菌薬が 投与開始された手術件数(分子) |
手術開始前1時間以内の 予防的抗菌薬投与率 |
751 | 742 | 98.80 |
<定義>
・集計値は次の式で算出した値とする(分母のうち、手術開始前1時間以内に予防抗菌薬が投与開始された手術件数 / 全身麻酔手術で、予防的抗菌薬投与が実施された手術件数) × 100
※全身麻酔手術とは L007:開放点滴式全身麻酔 , L008:マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔。また、硬膜外麻酔を併用した場合を含む。
<解説>
予防抗菌薬とは手術後の感染をできるだけ防ぐために抗生物質をあらかじめ投与することです。
開胸 ・ 開腹を伴う手術等は、手術開始1時間以内に適切な予防抗菌薬を点滴などで投与することにより、手術後の感染を予防できる可能性が高くなります。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは 除外条件に該当する患者を除いた 入院患者延べ数(分母) |
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上 の褥瘡)の発生患者数(分子) |
d2(真皮までの損傷)以上の 褥瘡発生率 |
55783 | 51 | 0.09 |
<定義>
【様式1の入力値を使用】
・集計値は次の式で算出した値とする(褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡)の発生患者数 / 退院患者の在院日数の総和) × 100
【除外条件(分母)】
①同一の日に入院及び退院した患者
②入院時既に褥瘡が記録されていた患者
<解説>
褥瘡は一般的には「 床ずれ 」と言われています。寝たきり状態などになると体重によって圧迫されている部分の血流が滞り、皮膚の一部が壊死や潰瘍を引き起こした状態です。
褥瘡の発生は苦痛になるだけでなく、栄養低下や感染を引き起こし入院期間の長期化や医療費の増大につながります。
そのため、局所に持続する圧迫が加わらないように体位変換をすることが大切です。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合 ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数 (分母) |
分母のうち、入院後48時間以内に 栄養アセスメントが実施された 患者数(分子) |
65歳以上の患者の入院早期の 栄養アセスメント実施割合 |
---|---|---|
3045 | 2935 | 96.39 |
<定義>
・集計値は次の式で算出した値とする(分母のうち、入院後48時間内以内に栄養アセスメントが実施された患者 / 65歳以上の退院患者数) × 100
<解説>
栄養管理は全ての治療の基盤であり、疾病の治癒や予後に大きく影響を及ぼします。特に高齢者の栄養管理は入院中の治療やリハビリテーション訓練だけではなく退院後の生活にも影響を与えます。そのため、早期に低栄養リスクを評価し、適切な介入をすることで在院日数の短縮 ・ 予後改善につながります。
身体的拘束の実施率 ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和 (分母) |
分母のうち、身体的拘束日数の総和 (分子) |
身体的拘束の実施率 |
58008 | 4311 | 7.43 |
<定義>
・同一日に複数回の身体拘束及び解除が繰り返されても、1日とする。
・集計値は次の式で算出した値とする(分母のうち、身体拘束日数の総和 / 退院患者の在院日数の総和) × 100
<解説>
身体拘束とは「 本人の行動の自由を制限すること 」であり、患者さんの身体や衣服に触れる用具(抑制帯、ひも、ミトンなど)を使用して一時的に患者さんの身体を拘束し、その運動を抑制する行動制限を指します。
認知障害、興奮やせん妄のため点滴やチューブ類の自己抜去などの危険行動が予想される場合や、転倒・転落防止のために拘束するケースが多くなります。
身体拘束はやむを得ない処置として行われる行動制限であり、できるだけ早期に他の方法に切り替えるように努めるべきとされています。
- 2025/09/29
- 令和6年度病院情報を公開