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新型コロナワクチン接種前後の抗体検査について

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新型コロナワクチン接種前後の抗体検査について

 当院では、令和3年3月9日より職員に対して新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社製:商品名 コミナティ)の先行接種を開始しました。接種にあたり、「これからワクチンを接種する方々へ情報発信する」目的で、副反応の調査と並行して、ワクチン接種前後の抗体検査を株式会社 AVSSとの共同研究として行いました。
なお、本研究については、県内マスコミ各社より取材を受け、報道されました。
  令和3年5月18日(火)琉球新報
   令和3年5月27日(木)沖縄タイムス
  令和3年6月30日(水)沖縄テレビ 

 その後、2回目のワクチン接種終了から3か月後、6か月後にも抗体検査を実施しましたので、そのデータを公表いたします。なお、公表するデータについては、全5回(①ワクチン接種直前、②1回目接種3週後(2回目接種直前)、③2回目接種3週後、④2回目接種3か月後、⑤2回目接種6か月後)のデータが揃っているもののみとし、途中の測定が漏れている人は除いています。
なお、経過中にブレイクスルー感染した人(ワクチン2回接種後に新たに新型コロナに感染した人)のデータ(9人)のデータを追加しました(12月3日)。

呼吸器・感染症科 田里大輔

※掲載されている内容、データ、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

研究内容

 11月13日の時点で、397人(ワクチン接種前未感染者 380人、既感染者 8人、ブレイクスルー感染者 9人)のデータが得られました。結果は以下のスライドでお示しします。

結果の説明

結果の説明
  1. 2回のワクチン接種により確実に抗体が作られ、一定の傾向を持って上昇した(2回の接種で100%抗体陽性となった)。
  2. 未感染者では、2回目の接種後に抗体が約36倍上昇した。
  3. 既感染者では、ワクチン接種前の時点でワクチンを1回接種した方と同程度の抗体を有していた。
  4. 既感染者は未感染者と比較すると、1回の接種のみで抗体が顕著に上昇したが(約190倍)、2回目接種後の上昇は軽微であった(約1.1倍)。
  5. 未感染者の抗体は、ワクチン2回接種後をピークに、接種3ヶ月後に約6割となり、接種6か月後には約4割に減少していた。
  6. 既感染者の抗体は、ワクチン2回接種後をピークに、接種3ヶ月後に約3割となり、接種6か月後には約1割となった。
  7. 既感染者の抗体は、減少幅は大きいものの、6ヶ月後でも未感染者のピークよりも高い値を示した。
  8. ブレイクスルー感染者の症状は無症状もしくは軽症であり、その後の後遺症も認めなかった。
  9. ブレイクスルー感染者は、感染後に抗体価が顕著に上昇する者がいる反面、感染後もほとんど上昇せず、6か月後の抗体が未感染者の中央値より低い者もいた。
  10. ブレイクスルー感染後の抗体価と、症状・年齢・性別には関連性は認めなかった。

研究のポイント

研究のポイント
  1. 「定性検査」(単に「+」・「-」の結果のみが得られる検査法)ではなく「定量検査」(具体的に数字で結果が得られる検査法)を用いたため、ワクチンに反応してどのくらい体の中で抗体が作られたかを数値化して比較することができました。
  2. 抗体測定には、海外でのワクチン臨床試験でも用いられた世界標準的なものを使用しました。これは国内の大都市で行われた疫学調査でも使用された信頼のある機器と試薬です。(Roche社製)。
  3. ワクチン接種前を含め複数回測定したことにより、ワクチン接種回数による効果(抗体量の違い)や、既感染者のワクチンに対する反応を示すことができました。

 なお、抗体検査の結果がワクチン接種の判断に影響を与えないよう、抗体を測定した職員には、2回のワクチン接種後、3回目の抗体検査の結果が揃った時点でまとめて結果を伝えています。

解釈にあたっての注意など

解釈にあたっての注意など

 どの程度の抗体量があれば、新型コロナの「感染」や「発症」、「重症化」が防げるのかは現時点では明確ではありませんが、これまで報告されているワクチンの有効性をみると、少なくともワクチンを接種してある程度抗体が作られていれば、「発症」や「重症化」を防ぐ効果については十分期待できると考えられます。

 なお、抗体には中和活性(どれだけターゲットとなる「抗原」と結合して効果を発揮するか)という指標もあり、「量だけでなく質」の問題も考えられます(例えば、それぞれの変異ウイルスに対する効果などがこれにあたります)。また、感染症に対する免疫は抗体を作ることだけではないため、抗体の量のみで新型コロナに対する免疫全体を判断することもできません。
 またワクチン接種率が高い国・地域でも再流行をきたしている状況を見ると、2回の接種のみでは「集団免疫」を最終目標にすることは難しいと考えられます。諸外国に比べ、日本では流行状況によらずマスク着用が継続されていることも流行拡大を抑える大きな要因となっていると考えられます。引継き感染対策の継続が必要です。
 ワクチン接種が先行しておこなわれたイスラエルでは、流行はいったん収束に向かいましたが、その後再流行を来しました。要因の1つとして、ワクチンの効果が時間とともに低下したことが挙げられており、3回目の接種(いわゆるブースター接種)が行われています。3回目の接種により、低下した抗体が再上昇すること、2回接種と比較して発症や重症化を防ぐ効果が高まることが報告されています。日本でも3回目の接種準備が進められており、近いうち(接種から8か月後以降)に開始される予定です。当院では、協力が得られる職員については引き続き抗体測定を行う予定です。

なお、副反応と抗体量の関連や、抗体量が少ない人や抗体量が大幅に減少した人などに何らかの要因がないか、現在解析をおこなっています。

2021年12月3日 更新

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