新型コロナワクチン接種後の副反応について
当院では、令和3年3月中旬から職員を対象とした新型コロナワクチン(ファイザー製のmRNAワクチン)の先行接種を開始し、これまでに全職員の約94%にあたる670名余が2回の接種を済ませました。最優先で接種させていただいた立場から、これから接種する方々への情報発信を目的として、接種後の各1週間は副反応調査を行い、その結果を公開してきました(本調査については、県内マスコミ各社より取材を受け、報道されております。令和3年6月20日 琉球新報・令和3年6月27日 沖縄タイムス・令和3年6月30日 沖縄テレビ放送・令和3年6月30日 NHK沖縄)。
このmRNAワクチンは当初は2回の接種で完了予定でしたが、その後、ワクチン接種から時間が経過するとワクチンの3つの効果(感染予防・発症予防・重症化予防)がいずれも低下すること、そして3回目の接種(ブースター接種)を行うことで抗体価が再上昇し、ワクチンの効果が高まることがわかりました。このような知見から世界各国でブースター接種が開始されるようになり、我が国でも昨年12月から医療従事者を対象とした接種が始まりました(なお、オミクロン株の流行急拡大に伴い、このブースター接種の時期については前倒しの議論が進んでいるところです)。
今回も、接種を終えた職員に副反応調査を実施しました。これまでは2回目の接種の際に副反応が強くなる傾向がありましたが、3回目の接種でさらに副反応が強くなるという傾向はありませんでした。局所反応である、「注射部位の痛みや脹れ」の頻度は若干増えていましたが、それ以外は2回目と同様か、若干減っていました。なお、特徴的なものとして、2回目までにはあまりみられなかった「接種した側の腋窩リンパ腫脹」を訴える頻度が増えていました(約3割)。これは、「わきの下にしこりを自覚し、触ると少し痛みを感じる」というものでしたが、ほとんどが2-3日程度で自然に改善しています。
令和3年12月8日~令和4年1月14日の期間に、3回目接種から1週間以上経過した職員のデータ(341名)を公開しますので、参考にしていただけたらと思います。
なお、追加接種に関するワクチンの情報は厚生労働省のホームページから見ることができます。
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A 追加接種 副反応について
呼吸器・感染症科 田里大輔
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3回目接種後の副反応(全体)
※グラフをクリックすると大きくなります。
注射部位の 痛み |
注射部位の 腫れ |
発熱 (38.0℃以上) |
倦怠感 (だるさ) |
筋肉痛 | 関節痛 | 頭痛 | 悪寒 (寒気) |
吐き気 | 下痢 | 腋窩リンパ の腫れ |
|
1回目 | 76.1% | 18.0% | 1.7% | 26.4% | 49.8% | 6.7% | 14.3% | 3.7% | 4.7% | 4.4% | - |
2回目 | 79.7% | 28.4% | 31.9% | 68.1% | 48.1% | 28.1% | 41.0% | 29.4% | 8.9% | 5.4% | - |
3回目 | 87.1% | 32.3% | 21.4% | 66.3% | 39.3% | 23.8% | 40.5% | 34.6% | 9.1% | 5.0% | 33.7% |
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2022年1月21日 更新