スペシャリストの声

専門性を高めながら現場で活躍するNPや認定看護師の方々にお話を伺いました。
どんな場面で専門性を発揮しているのか、日々のやりがいは何か――
スペシャリストならではの視点から、看護の魅力と奥深さを語っていただきました。

現在、当院には診療看護師(NP)1名と特定行為研修を修了した看護師1名と9名の認定看護師がいます。認定看護師の認定分野別には、緩和ケア認定看護師2名、皮膚・排泄ケア認定看護師1名、がん化学療法看護認定看護師1名、手術看護認定看護師1名、感染管理認定看護師3名、呼吸器疾患看護認定看護師1名となっています。
当院では、「専門性を高めたい」「もっと学びたい」という職員のキャリアアップ支援として、認定看護師等資格取得支援制度があります。受講中の給与保障及び研修費・交通費補助などを行っております。スペシャリストを目指す看護師を応援しています。

診療看護師(NP)

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「NPがいて良かった」と言われるような存在に
I.Mさん

―活動内容を教えてください

 NPの技術実施は手順書に基づいて行っています。主治医からの指示によりPICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル)挿入、病棟における人工呼吸器装着患者の管理、動脈血採血、動脈ライン挿入、挿管チューブ抜管、中心静脈カテーテル抜去などを行っています。
 患者さんの動脈血ガス検査を実施し結果を担当医師へ報告することで、治療までの時間が短縮できると思います。また、看護師が忙しい医師に依頼しにくい事などをNPが出来る範囲の行為であれば相談していただき、医師に繋げていくこともNPの仕事であると考えています。今後は臨床推論を駆使した患者さんの診察ができるようになれば、地域への貢献度が上がると考えています。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 特定行為は、厚労省から21区分38項目が挙げられていますが、それぞれの病院にあった項目と必要時に即座に使用できる手順書の作成と変更を順次実施する必要があります。「この行為ならNPに」と言われるように確実性を上げ、今後病院から「NPがいて良かった」と言われるような存在になること、後輩が継続していけるような場所づくりをすることが、今の私のやりがいです。

特定行為研修修了者

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行為の成功を一つ一つ積み重ねてやりがいに
T.Mさん

―活動内容を教えてください

 特定行為には38行為21区分あります。その中で私は自分の施設や部署でよく遭遇することを考え、琉球大学の特定行為研修の救急パッケージを選択し研修を修了しました。
 現在はHCU/ERに常勤で勤務してます。主に行っている行為は動脈血採血と動脈ライン留置です。病棟からの依頼があれば病棟でも動脈血採血を行っています。
 多種多様な患者さんが来院されるため、看護師として診療の補助だけではなく、患者さんやご家族に寄り添った心のケアや社会的側面の調整など、救急受診や入院する患者さんの健康や入院前のQOLが取り戻せるような関りが必要だと考えています。 

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 令和5年3月に特定行為研修を修了し、4月から特定行為を行っています。まだ全ての特定行為を行えていないのですが、取得して良かったと思うことは、重症患者などを対応していると医療行為ができることで、医師がやらなければいけないことの1つでも自分が行うことで、患者さんを早くアセスメントすることで治療に介入することが出来ることです。
 特定行為看護師となりやりがいと言えるほどの症例をこなせているわけではありませんが、ひとつの行為が成功するとホッとします。その行為の成功を一つ一つ積み重ねてやりがいに繋げていけたらいいなと思っています。また、周囲のスタッフや病院にとって、地域にとっても必要とされるように努力していきたいと思います。

緩和ケア専従看護師

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最後までその人らしく希望をもってすごせる
A.Mさん

患者さんや家族を看る視点・視野やアセスメントが広がった
T.Sさん

A.MさんT.Sさん

―活動内容を教えてください

 「患者さん・ご家族の思いに寄り添いながら、最後までその人らしく、その時その時で希望を持って過ごせる」を念頭に活動しています。
 具体的には、
 〇患者さん、ご家族と医療チームをつなぎ合わせる調整役
 〇緩和ケアの質の向上に向けて勉強会の計画、実施
 〇病気と共に患者さんの望む生き方ができるように患者さん、ご家族と一緒に考え、意思決定を支援する
 〇多職種で構成された緩和ケアチームでの活動(週1回の緩和ケア回診)
 〇いつでもどこでも緩和ケアが受けられるように、地域連携を活かした(在宅)退院支援

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 〇患者さんの希望が叶ったとき(身体的苦痛の緩和・在宅退院など)
 〇患者さん・ご家族から「あなたがいてくれてよかった」「あなたと話をするのが楽しみ」等の言葉をいただいたとき
 〇スタッフ(他職種含む)から緩和ケアの依頼がかかったとき

―活動内容を教えてください

 入院中の患者さんの症状緩和がうまくいっているのかを確認し、うまくいっていない症例については、スタッフと共に症状アセスメントし、ケアの方法を検討したり、医師に処方変更について提案したりすることもあります。また、がんの診断や再発・転移など病状進行時の告知は可能な限り同席し、告知後の患者・家族のフォローも行っています。さらに緩和ケアチームの一員として、医師、薬剤師、リハビリ、MSW、栄養士など多職種と連携・協働し活動しています。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 患者さんや家族を看る視点・視野やアセスメントが広がったことです。学んだことを患者さん・家族のケアに活かすと共に、スタッフへの指導・相談についても力を入れ、緩和ケア領域において北部地域の医療に貢献していきたいです。

皮膚・排泄ケア認定看護師

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困った時にすぐ相談できる窓口になる
K.Hさん

―活動内容を教えてください

 認定看護師として、褥瘡発生時や持ち込み褥瘡、スキントラブルの際の相談を受け、処置・ケアの介入を行っています。また、褥瘡は治療だけでなく早期からの予防ケアを行えるようにスタッフ教育を行っています。
 ストーマに関しては、手術前のストーマ造設についての説明、ストーマサイトマーキング、術後ケアや患者さんへのセルフケア指導を行っています。また、便・尿失禁に伴う皮膚のかぶれなどのケア・予防に介入しています。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 患者さんの褥瘡がどんどん良くなっていく時や早期に治療に至ったとき介入してよかったと感じます。また、スタッフから困った時にすぐに相談できる窓口になれたことや患者さんやご家族から「良かったよ」・「安心した」・「助かった」などの言葉をかけてもらった時に認定看護師になって良かったと思います。

がん化学療法看護認定看護師

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患者さん・ご家族・医療者でチームとして治療に取り組む
A.Hさん

―活動内容を教えてください

 現在、外来化学療法室に勤務しており、日々がん化学療法に携わっています。安全な投薬管理や治療審査委員会への参加、外来化学療法マニュアルの整備、スタッフ教育などを実施しています。
 また、近年では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を含むレジメンが増えてきています。その場合、末梢神経障害や皮膚障害、免疫関連の問題などの新たな副作用も出現しています。そのため、薬剤師や看護スタッフと協力しながら、患者さん・ご家族が副作用対策ができるよう、セルフケア支援などに取り組んでいます。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 がんと診断され、化学療法を受けながらも、患者さん・ご家族が自分らしく生きがいを持って生活できるような関わりが持てたときに、やりがいを感じます。
 今後も患者さん・ご家族・医療者でチームとして治療に取り組めるよう、自己研磨していきたいと思います。

手術看護認定看護師

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自己の看護に対する責任感が強くなった
S.Kさん

―活動内容を教えてください

 〇手術を受ける患者さんの受け持ちとして、手術の器械出しや外回り看護の実践。
 〇看護実践におけるスタッフへの指導。
 〇術後疼痛管理チームの一員としての活動。
 〇手術に関連する個人や組織における課題や問題に対する相談。
 〇手術スタッフの教育計画や看護研究。
 〇手術看護認定看護師としての院外活動。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 自己の看護に対する責任感が強くなったことが、一番大きな違いではないかと思います。自己の考えや看護を専門として説明できなくてはいけないので、難しい部分でもありますが、取得前に比べてより学びを深められるので、やりがいを感じています。
 また、認定看護教育を一緒に受けた同期が全国各地に出来たことや、県内での認定活動を通じた情報共有など認定看護師資格の取得で輪が広がったことが良かったです。

感染管理認定看護師

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同期・仲間と出会えた
A.Tさん

感染から患者やスタッフを守る
T.Hさん

問題解決に向けて対策を実践する
Y.Oさん

A.TさんT.HさんY.Oさん

―活動内容を教えてください

1) 院内感染サーベイランスの実践(感染率の算出、分析、評価、結果に基づいた対策の実践および介入)
2) 感染管理上の問題点を改善するための院内感染対策マニュアルの改訂
3) 感染防止技術の実践、指導
4) 職員に対する針刺し防止や流行性ウイルス疾患の抗体価把握とワクチンの推進、空気感染防止策の推進
5) 安全な療養環境を確保するためのファシリティマネジメント(廃棄物やリネン処理、施設空調管理)の推進
6) 病院職員への感染防止教育
7) 感染管理コンサルテーション(相談)
 上記のような活動を行っています。
 また、「手洗い(手指衛生)」は医療関連感染(院内感染)を容易に減少させることができる方法です。そのため全職員がTPOに応じた「手洗い(手指衛生)」ができる環境になるよう取り組んでいます。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 これまで、自身が持っていた感染管理に関する知識がグレードアップしたことです。認定看護師研修課程の同期・仲間と出会えたことも良かったことと言えます。また、感染対策チーム(ICT)の一員として、専門性を活かし活動をすることで、患者、職員の医療関連感染を減少できたデータが出た時や、リンクナースおよびスタッフの頑張りで病棟ラウンドの時に指摘された事が改善された場面を見た時には、やってて良かったと感じます。

―活動内容を教えてください

1)医療関連感染サーベイランスの実施、分析、フィードバック
2)感染管理上の問題点を改善するための院内感染対策マニュアルの作成・更新・改訂
3)感染防止技術の実践・指導
4)職業感染管理(職員に対する血液媒介病原体による針刺し・切創・汚染防止や流行性ウイルス感染症の抗体価把握とワクチンの推進、空気感染防止策の推進)
5)安全な療養環境を確保するためのファシリティマネジメント(廃棄物やリネン類処理、施設空調管理)
6)医療器械類の洗浄・消毒・滅菌の管理と評価
7)病院職員への感染防止教育
8)感染管理に関する相談対応
また、感染対策チーム(ICT)として感染から患者やスタッフを守るため横断的な活動を行っています。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 各部門のスタッフから報告と相談を受けた時、提案するだけでなく根拠を示し、また実行に移せる働きをすると、現場の感染対策の統一ができスタッフの行動変容にも繋がった時はやりがいを感じます。そしてリンクナースの協力によって感染対策効果がでているので、これからもスタッフ一人ひとりが意識を持って感染対策ができるよう取り組んでいきたいと思います。

―活動内容を教えてください

 現在は病棟に所属し、週1回活動時間を確保している状況です。病院内の血液培養陽性者、耐性菌検出者の情報や、抗菌薬の使用状況の情報収集を行っています。午後からICTミーティングに参加し、感染症に関する情報を他職種と共有、病棟や外来部門をラウンドし環境の評価を行っています。

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 私が感染管理認定看護師教育課程を受験した2020年は、新型コロナウイルス感染症が日本で拡大し始めた時期でした。当院にもコロナ専用病棟が設置され、教育課程修了後、私はその病棟に配属されました。対応するスタッフの不安や疑問に耳を傾けながら、問題解決に向けて対策を実践し、協働できたと感じています。感染症診療への理解が深まり、患者さんへの対応にも役立っています。

手術看護認定看護師

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自己の看護に対する責任感が強くなった
K.Kさん

―活動内容を教えてください

1) HCU/ERでの一般看護業務と特定行為
 ・人工呼吸器装着中の患者さんへ合併症の予防などの呼吸ケアを行う
 ・身体所見などから医師と主に臨床推論を確認し、人工呼吸器の設定や輸液管理などの特定行為を行う
2) RST(呼吸ケアサポートチーム)として病棟を横断的にサポート
 ・チームラウンドを行い、人工呼吸器の離脱支援や合併症予防、安全管理の相談やサポート、呼吸障害に関する相談、ケアの方法や問題解決に向けたチーム医療の介入を行う
3) 個別の患者さんとご家族への療養生活支援
 ・療養生活における相談を受け、病棟看護師と一緒に解決に向けたサポート
4) 院内研修会や勉強会の開催
 ・院内の研修や勉強会を開催し、医療の質向上を図る

―資格を取ってやりがいを感じたことを教えてください

 自己の看護に対する責任感が強くなったことが、一番大きな違いではないかと思います。自己の考えや看護を専門として説明できなくてはいけないので、難しい部分でもありますが、取得前に比べてより学びを深められるので、やりがいを感じています。
 また、認定看護教育を一緒に受けた同期が全国各地に出来たことや、県内での認定活動を通じた情報共有など認定看護師資格の取得で輪が広がったことが良かったです。